top of page

Takashi Yamaguchi design office
山
口
貴
司
設
計
事
務
所
記憶の解像度
駅には今日もあらゆる人が行き交い、さまざまな人のあらゆる感情がめまぐるしく対流している。初めて訪れる人の高揚感、車窓の風景に感じるノスタルジー、帰りがけの満足感と淋しさ、旅立つ人の哀愁、通勤通学の疲労と非日常への期待、好きな人に会うワクワク感。そんな感情を透かした先には、那珂湊の鮮やかな光景が見えてくる。対峙した瞬間鮮明に脳裏に焼き付いたはずの光景は、どうしても時間とともに解像度が低下していく。やがて光と色の集合となってぼんやりと脳裏に漂う。もう一度すくいとりたいけど、たどりつかないもどかしさ。人間の記憶の曖昧さ。このまちと「対峙したあと」に残る記憶は、忘却の時間に抗うように光と色を撒き散らしながら揺らめいている。
bottom of page